社会保険労務士制度の沿革とバッジ（徽章）、ＳＲの意味

こんにちは、ＹＵＫＩビジネスサポートの加藤です。
今日は、社会保険労務士制度の沿革とバッジ（徽章）の意味などについて、つらつらと述べたいと思います。

社労士は、労働・社会保険の問題の専門家です。
社労士にも、弁護士バッジのように、専門家であることを表すバッジがあり、正式名称は都道府県社会保険労務士会会員徽章といいます。

デザインは、１６枚の花弁菊の形で真ん中に「SR」のローマ字が表記されています。



他の士業のバッジにはない、このアルファベットの「SR」
「Syakaihoken Roumushi」の頭文字からきていますが、なぜアルファベットで表記されているのか調べても分からず、ずっと疑問に思っていました。
一部には、アルファベットはダサいという意見もあります。

しかし、社会保険労務士制度の沿革を調べると、この「SR」には、以下に記載したような強い意思が込められているのではと思うようになりました。


社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づく国家資格者で、５２年間の歴史はありますが、他の士業と比べると一番若い士業資格です。
戦後の復興期、労働基準法を始めとした労働関係諸法令が制定され、労務管理の近代化の要請に応じて、自然と人事労働に関する相談、指導、煩雑な官庁への届出事務代行を行う業者が現れました。しかし、この業者の全てがまともなものだったわけではなく、中には高額な報酬を求めたり労働争議に不当に介入する者が現れました。
そこで、業界団体を結成し、団体による規律の確保と資質の向上を図るべしという機運が高まり、主に二つの民間資格と団体が登場します。

労務管理士－日本労務管理士協会（所管官庁：労働省）…会長は元労働省のキャリア官僚、事務次官

社会保険士－日本社会保険士会（所管官庁：厚生省（社会保険庁））…会長は元厚生省大臣

です。

まるで、労働省VS厚生省の構図です（今は仲良く一つになって厚生労働省です。）。

参考　社会保険労務士白書第２章（全国社会保険労務士連合会）
社会保険労務士白書_2


国家資格設立に向けて、この二つの業界団体の国家資格設立に向けた抗争は熾烈なものでした。
また、これらの業界団体だけでなく、省庁や税理士会、行政書士会など既存の団体の色々な思惑が絡み合い、複雑な経緯をたどりました。

そんな中、昭和４３年１２月２日に社会保険労務士法が施行され、社会保険労務士という資格は誕生しましたが、
今度は、どちらの団体が主導して、社労士を管理するかの争いになりました。
諸々、紆余曲折を経て、両団体は手を取りあって合併することになり、昭和５１年９月７日、全国社会保険労務士会（現在の全国社会保険労務士連合会）が設立されました。

その後、昭和５４年１１月８日、全国社会保険労務士連合会の会員徽章制定委員会で社労士バッジの真ん中に「ＳＲ」をあしらったものにすることなどが正式決定されました。


つまり、この労務管理士と社会保険士という社労士制度の沿革からすると

バッジのSRというデザインの意味は、

社会保険士　Syakaihoken
労務管理士　Roumushi　

争うのではなく共に歩もう。

ＳとＲが手を取り合い、「ＳR」という一つの資格者として、社会のため、会社や従業員のため、「人」の役に立とう。

という強い意思が伝わってきます（会社と従業員が争うのではなく手を取り合い共に歩むのが一番良いという社労士の持つ考えに似ています。）。

私たち、社労士・社労士事務所職員は、

この「ＳR」の名に恥じない存在でなければならない。

そう強く思い今日も仕事がんばります。

※　社労士制度の沿革を詳しく知りたい方は連合会の出している「社会保険労務士法詳解」に載っていますので参考にしてください。
https://www.shakaihokenroumushi.jp/organization/tabid/283/Default.aspx

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